
残影
Lyric: atsuki
Music: Tanana
Arragne: Haze of the Bullet Blossom, Okamoto
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[Lyric]
この街に濃紺のヴェールが降りてから数時刻。
霧が燻り、満ちる今は多分、
午前二時。
放蕩を尽くす街は息を潜め、
果実は誰の目にも触れず腐り落ちる。
街灯の明かりが霧に散らされて、
光の粒が柔らかにつま先を濡らす。
昨日と明日の狭間。
縁の融けた影は、
一つ残された。
思い起こす。
瞼の裏にある記憶は、
明滅して灼けていく。
「持って行かないで」
火を消す涙。
一時の救いも。
一輪の言葉も。
全てが影になった。
過去になった。
互いを歪め合った二人。
まるで割れた合わせ鏡だ。
あなたと過ごした。
それが日々になった。
あなたが居ないなら、
私は誰だ。
星が流れた。
夜空に弧を描きながら。
瞳に差した。
一筋の光が。
「私の孤独は、君だけのもの」
——溢れ出した
思い起こす。
孤独を抱いて、時には泣いて。
寂しさは少しあるけれど。(今だけは良い)
ゆっくりと進んでいくよ。(歩む私)
私は夜を征く。(別たれた道)
影と共に。


