
桜霞
Lyric: atsuki
Music: 健太
Arragne: Haze of the Bullet Blossom, Okamoto
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[Lyric]
陽の降る丘の上。
儚げな君の艶やかな髪が、
少し冷たい春の風に靡いて、
煌めいた。
繰り返しの日々に差す「白」。
郷愁に寄り添う散る音。
幻聴
緩やかに朽ちていく。
透く脳。飽く問い。
陽光
居場所を奪う「白」。
襲う眩暈、歪む視界。
霞む先で風に踊り舞う。
幻影。届かぬ。
泡沫の夢。
花篝が映し出す刹那の煌めき。
窓硝子に降りる霜。
描いた文字の淵。
堪り兼ね、涙となりて
哀し線を引く。
君はきっとまだそこに居る。
この心もそこに残っている。
あの丘の上。
もう一度、手を伸ばした。
指先は届かない。
「君にまた触れたくて」
伸ばしたこの手は、
宙を切った。
心の幻肢痛が激しくなれば、
芽吹きの季節の訪れを感じ。
部屋に差す光が暖かければ、
失った温もりを思い出す。
窓辺に堕つ一片[ひとひら]の花弁。
彼方に広がる春化粧。
そこに確かにあなたの影を見た。
手をまた伸ばす。
指先が触れる距離へ。
君に「今」届けと。
あなたは蜃気楼。
今も陽に照らされて。
靡く髪に映し出す想い出。
煤被り、歳ばかりの私。
君だけは…
あの頃と変わらぬままで。
もうすぐ覚めてしまう。
これは春ノ夢。
桜が舞い散る。
春雨に揺らめいて。煌めいて。
この手は届かない。
「愛していた」
知らぬ間に咲き、
散っていく君よ。
景色が遠いのは、
経た時の長さの所為か。
嗚呼。桜霞
もう一度、
この手を握って。


